えべっさん




生駒神社についたのは夕刻になっていた。
薄暗くなり始めた境内に提灯が彩りを添えている。







階段の下にえびす祭りの案内があった。
「そうか、きょうは宵えびすか」
そのとき境内からアナウンスの声が聞こえてきた。まもなく神殿前で奉納居合の演武があるというのだ。





石段を駆け上った。
いつも年初に掛けかわる絵馬はかわいい虎のデザインに替わっている。







本殿前は飾りも少なくさみしいほどだが、左側にある生駒戎神社の前では、かがり火がたかれ、大勢の人でにぎわっている。
社殿は小さいが福笹やお飾りの売り場もあり、はなやかな雰囲気がただよっていた。



奉納居合の演武は小学生の女の子から始まって、30分近くも続くらしい。
寒そうに暖をとる姿は武道に志す人たちにしてはちょっと情けない様子だった。





なおのこと、おみくじつきの飴ちゃんで大吉を引き当てて喜んでいる剣士もいて、これでよいのか、と思ったりする。





それはそれで良いのだろう。

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